選ばれる理由
繊細な身体づかいから生まれる、
ダイナミックなパフォーマンスへ。
——現役投てき選手が見出すRUCOE RUNの可能性とは?——
現役の投てき選手はRUCOE RUNをどのように活用しているのか。やり投げのスペシャリストとして活躍している、ミズノトラッククラブ所属の世界陸上ファイナリスト・ディーン元気選手にお話を伺いました。
ダイナミックな投てきをするために、
どこまで身体をコントロールできるか。
僕はやりを投げるとき、最後左足で思いっきりブレーキをかけるのですが、そのため左の前脛骨筋や腓骨筋にかなりの負担がかかってしまいます。そこで投げる前や、試合翌日にRUCOE RUNで刺激を入れてあげる。ちょっと弱めの電気で筋肉を動かすようなイメージで使用しています。筋肉の疲労度は日々変わり、その日の動きのリズムも全然違うので、自分の身体がいいなと思うリズムで強さを変えながら調整しています。
やり投げはウエイトで勝負すればいいというわけではなく、細かい技術も必要になります。そのために、全身の筋肉が使える準備が出来ているかが重要です。渾身の一投のために、トップスピードに乗せる助走があり、しかも投てきラインで急に止まりながら、やりを繰り出す。そのために短距離と同様にスプリント練習や、跳躍選手のようなハードル間をケンケンで飛びながらのジャンプなどといった、ウエイトや投げる練習だけではない、走りやジャンプトレーニングを普段から取り入れています。やり投げは全身をバランスよく使えることが大事であり、ダイナミックに見えて、かなり繊細な身体のコントロールが求められるのです。
パフォーマンスを引き出しながら、
セルフメンテナンスへとつなげる。
もともと、大学の寮での貸し出しや伊藤超短波に就職した大学の先輩へ依頼してデモ機を借りたりと、伊藤超短波の製品には馴染みがありました。特にAT-miniは2012年の世界大会のときにサポートいただいた頃から使用していました。
RUCOE RUNとこれまでの製品との違いは、RUCOE RUNは流す電気の強さによってまったく刺激が違うということ。ケアに特化した微弱な電気が流れるAT-miniと比べても、種目やアスリートの個々に応じた使い方の可能性があると思っています。またRUCOE RUNは10分で1回の通電が終わるように設定されているのですが、同じ箇所に繰り返し使用するのではなく、その箇所が終わったら、次の箇所へと通電していきます。実際に使ってみるとよく考え抜かれた時間だなと実感しました。投てきのように日頃から身体にかなり負荷をかけている種目だと、ついつい電気を強くしがちだと思うのですが、僕の場合は少し弱めの刺激にして、しっかり筋肉に信号を送るイメージです。身体を動かしながら動きやすくするという感覚で使用しています。
やり投げは、高い記録を出そうとすればするほど、全身の出力も上がっていく競技なので、常に障害につながるリスクと隣り合わせです。普段から筋電気刺激でパフォーマンスを引き出しながら、セルフメンテナンスにもつなげられるのは、RUCOE RUNというツールの一番の良さかもしれません。
己の肉体と向き合い挑んだ世界陸上。
RUCOE RUNはどうサポートしていたのか。
RUCOE RUNを手にしてから数ヶ月後に挑んだのが、2022年7月の世界陸上オレゴン大会でした。僕が自己ベスト84m28(日本歴代2位)を記録したのは2012年。世界大会の代表に選ばれた年でもあります。しかし、その後は故障が増えて調子が低迷してしまい、長年記録が伸び悩んでいました。そこから抜けだすべく、10年間をかけて自分の肉体と向き合いつづけて挑んだのが、今年の世界陸上です。
世界で戦えるランクを目指すためには、決勝進出を視野に入れて、予選を通過する必要がありました。そのため予選3回の試技それぞれをきっちりと投げにいった。ただ世界陸上には予選と決勝との間に1日しか中日がありません。試合の次の日には、腰まわりや起立筋などに違和感が出てしまうことがあります。そのため予選から決勝までをイメージしながらRUCOE RUNでコンディショニングしていきました。予選の後には、少しずつ時間を置きながら気になる筋肉に弱めの電気を流し、決勝に向けては、臀部から腰周りや、肩甲骨周囲など、動きをサポートするような使い方を心がけていました。
予選をシーズンベストで通過。決勝進出を果たし結果は自己最高順位の9位でした。ベスト8に残ることは叶いませんでしたが、確実に世界で戦えるだけの手応えを感じた大会になったかなと思っています。
予選での課題と向き合い、
決勝でより高い記録を目指す。
同じく今年9月に行なわれたISTAFベルリン大会(80m69で2位)でも、RUCOE RUNを活用していました。予選が終わった後に、決勝に向けて、前の投てきで良くなかった部分を総合的にコーチと振り返る。次の投てきで意識することを相談します。そしてできるだけ筋肉がエラスティックに動くよう意識しながら、RUCOE RUNで弱めの電気を気になる箇所に流していきました。
やり投げは、投げる際に反るスポーツなので、腰の入りが悪くなると、弓のようにしなるアーチができなくなります。特に臀部や腸腰筋の周りは固まりやすく、骨盤が動きにくくなってしまいます。決勝のときにもちょっと張った感覚があったのでその辺りと、肩甲骨の裏側や背中全体に通電したことも良い結果につながったのかもしれません。
また大会中だけではなく、会場までの移動も14時間半のフライトと長く、ずっと同じ姿勢でいるために腰が気になっていました。その際にもRUCOE RUNを使っていました。遠征の間は一度も充電なしで大丈夫だったので、バッテリーが長持ちするという点でも助かりましたね。
酷使されたアスリートの身体を、
冷えた筋肉を、WAKEで目覚めさせる。
年齢が30歳を超えてきて、若い頃のように1日オフを挟んでも完全には回復しない感覚が出てきました。アスリートは、とにかく次の練習までにいかに疲れを抜くかが大事なのですが、サポートスタッフが帯同しない長期の海外遠征が続いていたこともあり、身体へのダメージが残る感じがありました。
日本に帰ってきた今年2022年の4月頃。いつもお世話になっている鍼灸院に立ち寄ったのですが、そこに導入されていたのがRUCOE RUNです。触ってみて興味が出てきたため、院長の富永先生にお借りして実際に使ってみると良い感覚が。そこから本格的にRUCOE RUNを使うようになりました。そして早速、RUCOE RUNを持っていて良かったと思う機会がありました。6月のフィンランドで行なわれた試合です。もともと僕は寒い日に腰まわりがこわばりやすいタイプなのですが、その日は小雨も降っていて気温は13℃ほど。その前の週の日本選手権では約25℃あったため、気温の変化で身体への負荷もありました。この寒い環境下において、ウォーミングアップの前段階でのWAKEモードがかなり重宝したと感じています。脇腹や肩周りに貼ったり、腹斜筋や腰方形筋あたりに貼り、ツイストしながら電気を流して筋肉がちゃんと動くようにしてあげるとウォームアップがキマリます。寒く冷えていましたが、WAKEは名前の通り筋肉を起こすことに有効で、しっかり筋肉を動かすことができたという実感がありましたね。
ちなみに、フィンランドのある選手に見せたら、自国には同類の製品がないとのことで、とても興味を持たれました。その選手が欲しいと言っていたので、次回手土産としてRUCOE RUNを持っていく予定です(笑)。
冬場のオフシーズンには、
来季に向けてコンディショニングを。
僕はオフシーズンには、栄養をしっかり取って、しっかり寝るということを大切にしています。冬場は特にですがトレーニング量や可動域の制限が増えてくるので、パフォーマンスを落とさないことと、けがの予防という観点が大切になります。
ただ、やはり寝る時間を確保したいけど、ずっと同じ姿勢でいることによって身体が固まりがちです。RUCOE RUNで筋に直接電気の刺激を流しながらストレッチなどをゆっくりすると、筋肉がちゃんと弾力的に伸び縮みしてくれるようになる。ほかのコンディショニングツールと目的に合わせて使い分けながら、冬場に上手にコンディショニングをして来シーズンにつなげたいと考えています。
イレギュラーなここ数年を経て、
見えてきた課題と自分を超える未来へ。
2020年は大会の開催やトレーニング環境においても不安定で、相当イレギュラーな年だったのですが、セイコーゴールデングランプリ陸上では久しぶりに80mを投げることができました。しかし、このときは一発を狙ってなんとか飛んだという印象です。2021年の大会を目指す中、いろいろ噛み合わず、焦りもあったりしたので僕の中ではとても不安定な年だと感じていました。
このような苦いシーズンを経て、去年(2021年)の冬に、自分の身体に対する発見、パフォーマンスに対する足りない部分の反省、結果を改めて分析。ここからもう一段上のレベルに上げていくために、助走速度やトップスピードに乗ったところでの安定性など、細かい部分までを意識していきました。そうすることで負荷を上げながら、身体とどう向き合っていくかが見えてきました。
今年は世界陸上でキャリア自己最高の成績を残すことができました。ただ自分としては、必死にポイントを集めたことにより勝ち取った出場だったと感じています。そのため来年は標準記録を破ってゆとりを持って出場し、決勝でいかに最高の自分で闘えるかが課題です。
こうして2022年を振り返ると、ある程度自信を取り戻すことができたのは大きな収穫でした。その自信を持ち続けて冬季トレーニングの質を日々高めながら、来年に向けてさらにダイナミックに投げるためにどうすればいいかを模索する。そして、来る2024年の大会でもメダルを獲得できるように、「さらに高みを目指していく」という信念を持って、しっかりと結果を残せるシーズンにしていくつもりです。
ディーン 元気 GENKI DEAN
ミズノ所属
種目:やり投げ
自己ベスト:84m28
主な成績
ロンドンオリンピック 10位(2012年)
オレゴン世界陸上競技選手権大会 9位(2022年)
日本陸上競技選手権大会 優勝(2012年・2022年)